Begin Again

 今回は前回のまとめになるのだと思うが、正直、初日からあまりにも辺鄙な滞在先に滅入っている。

 

<2010年の日記から>

 

  今日、仕事が始まった。乗合いバスで工場まで向かうは6時出発。薄明かりに見え るホーチミンの街。無数の人間がすでに動き始め、彼らはどこへ向かいどこで暮らす のか。とにかく圧倒される人の数に、無限の生命力を感じないはずはない。唯一つ分 かることは、皆様々な歴史という人生を抱え、今を一瞬を生きているんだと。車は私 たちを乗せ、とにかく走る。排気ガスをまき散らす、バイクや自動車の波をすり抜け て、日本人が仕事場へと運ばれる。ふいに、地元にやってくる外国人出稼ぎ労働者を 思い出す。彼はら遠く離れた国から日本という場所へやってきて、とにかく働き金を 稼ぐために人生をささげるのだ。そうなると自分は何に一生をかけられるのだろう  か、そこまで答えが出ないでいるのはせめてもの救いなのかもしれない。仕事場では 熱 風に巻き上げられる砂埃が身体を汚染させる。とにかく劣悪な環境があり、そこ ではベトナム人も日本人も一緒になって汗水たらして労働する現日が待っている。金 という欲望、名誉という欲望、ありとあらゆる欲望の渦は肥大しながら、私たちはそ れに飲み込まれ吸い込まれうまいこと乗っかって、生き抜いていく動物なのだ。